ふかづめえぶりでー

見たこと聞いたことまんま書くブログ

渋い劇の祭・地獄 適当なあらすじと感想

(注意)見てから一週間以上経ってから書いているので、かなり記憶があいまいです。今まで書いたあらすじは割と忠実に再現したつもりで書いてましたが、今回のはこれまで以上に適当で、解釈もかなり独自なものなのでご注意ください。

 

「あるウェブサイトで知り合った、初対面の男女12人による勝手にサスペンス」

と、フライヤーに書いてあったが、実はアレするために山の中の小屋に集まったのは「11人いる!」だった。

 

 小屋を提供したのは、和菓子屋の青木(佐野剛)。参加者の一人である河童(真心)とは飲み友達(つまり初対面ではない)。河童は明日が自分の誕生日だと青木に嘘をついて、部屋を提供させたのだ。そんなことは知らず、青木は0時を過ぎるとともに、和菓子屋だけどモンブランを用意するつもりで小屋に残っていた。

 

 ……って事情で小屋を用意できたことは、全く知らなかった今回アレするためにみんなを集めた葉蔵(榊原徹士)。

 

すでに小屋には、参加者が集まっていた。青木に怪しまれないようにしようにも、全員が初対面ということがまずバレてしまう。

飲み物一つ頼むにも、

わざわざ日本野鳥の会のごとく双眼鏡でオーダーを数える元タクシー運転手の死神(熊野利哉)

赤と白しかないのにロゼを頼むキャバクラ嬢のパン子(山田瑞紀)

用意されてないのにタピオカを頼むニート自宅警備員(橋本全一)。

用意されてないのに養命酒を頼む元子役女優の早乙女R(栗生みな)。

オネエ言葉で注文が2転3転するアパレル会社勤務のフェラガモ(塚原直彦)。

台所で鼻歌を歌っていた青木を注意しにいった俳優のんなんな(丸山厚人)。

最初からヒステリックな態度で水すらも拒否する家事手伝いの鬱怨み(小川千尋)。

外見からして、とても河童の誕生日を祝いに来たとは思えない無職のむち打ち君(大西一希)とパン子と同じキャバクラに勤めてるアゲハ(花瑛ちほ)。

 

年齢も生別もバラバラの個性豊かなメンバーに、誤魔化すどころか早くも青木に怪しまれる。

まずは青木を追い出そうと、台所へいなくなった隙に話し合うメンバーたち。そもそも河童の誕生日(という設定)であるはずなのに、リアル飲み友達の和菓子屋の青木がいないのはおかしくないか?という疑問に、「オフ会での誕生日会にしよう」と、用意していたパーティーグッズで見かけだけでも誤魔化そうとするみなさん。

しかし、最初から怪しいと思っていた青木は、ぐーぐる先生から早乙女Rの遺書にも取れそうなブログを読んでしまった。さらには、葉蔵が用意した練炭と炭火焼きセットを見つけてしまう。

 

そう。彼らは、自殺するためにネットで集まったみなさんだった。

 

サンマを焼こうにも今は6月、ウナギを焼こうとごまかしたら外でやれ、……と、とにかくすっかり青木にばれてしまった彼らは、自殺を決行しようとする。

「自殺なんてダメだよ!死んだら地獄にいっちゃうよ!」

必死で止める青木に、主催者であるはずの葉蔵が言った。

 

「僕が言葉でみなさんを説得します。もし止めることができなかったら、……僕が死にます」

 

こんな感じで、まずどうして自殺したくなったのか、その身の上を話し合うことから始まります。時間は日付が変わる0時(残り45分)。

キャバクラでの成績も悪く休み、実家でも甥っ子にアンパンマンに似てるのに何も役に立っていないからと生きるのが嫌になったパン子。

それだけじゃない、死にたくなったのは自分が前に付き合っていたミノルに振られたから……と、暴露するアゲハ。

就職活動に5回も落ちてしまった自宅警備員

子役でブレイクしたがその後は芽が出ず、事務所からも脱ぐことを言われ事務所をやめて見返してやるんだ、と自殺しに来たとは思えない早乙女R。

勤務先がブラック過ぎて、休みたくても同僚に迷惑がかかって休めない。明日が来るのが怖いと訴えるフェラガモ。

勤めていた健康器具会社をクビになり、妻と中学生の娘のために、保険金目当てで自殺をもくろむ河童。

パチンコで1026万だかの借金を背負い、バイト先まで取り立てが来てお金を返せないむちうち君。

小劇団で役者をやっていたが、持前の声の良さもいかせず、「役者は必要とされないと存在できない」からと死ぬことを決心したペペロンチーノ伯爵ことなんなん。

この中のメンバーでは、唯一真面目に自殺しに来た鬱恨みは、相変わらずヒステリックな態度で、気持ちが変わる訳ないから、気持ちが変わった人がいるか多数決で決めてほしいと訴える。

 

どうしても自殺を止めようと、一人一人説得する青木。

すると、一人だけ手を挙げた。早乙女Rではなく河童に順番を飛ばされて、死ぬ理由を語ってなかった死神だった。しかし死神は、自殺するのではなく見届け人をやりたい、と名乗り出た。

結局死神も気が変わったわけではないから、自殺を決行しようという流れに。今度は、葉蔵は、どの方法が一番楽に死ねるか話し合おうと言い出す。

 

 

 

 

ここから、練炭は苦しいからと、切腹、毒殺、首吊り、溺死、凍死、窒息、感電……など、「良い子はマネしないでください」みたいなテロップがつきそうな身体を張った芸が始まります。

それと同時に、参加者たちの本当の目的が明らかになっていく……という感じです。

最初は死にたかったけど、ここに来た理由でさえ話を盛って結局やめた人。

最初は死にたかったけど、周りに流されて、結局やめた人。

本当に死にたかったけど、一人で死ぬのは怖かった人。

本当に死にたかったけど、誰かがいれば死ぬのをやめることができた人。

本当に死にたかったけど、最後の賭けが叶えば死ぬのをやめるのをできた人。

たぶん死にたかったけど、誰かに止めてもらえばいつでもやめることができた人。

たぶん死にたかったけど、一人では死ねなかった人。

たぶん死にたかったけど、それ以上に相手を不幸にさせたかった人。

たぶん死にたかったけど、それよりも相手に死んでもらいたかった人。

最初から死ぬ気がなかった人。

 

もしかしたら、分類が違うかもしれないけど、自分には、こんな感じの分類に思えました。

 

むちうち君とフェラガモさん。……割と最初の方に自殺を思いとどまった人。むちうち君は、借金が116万くらいしかないのに、周りのメンツが濃すぎて、つい1000万単位と話を盛ってしまった。フェラガモさんが好きな仕事だけどブラックで休めない、辞めようにも年齢的に再就職できるかもわからないというのが一番感情移入できました。

 

鬱恨みさんと自宅警備員さん……鬱さんは、何度も死ぬ機会はあったのに死のうとしなかった。本人が拒否したので身の上は分からなかったけど、さぞかし天涯孤独で学校でもいじめられて引きこもってたんじゃないかとサイドストーリーが書けそう。だから余計に、死ぬ気がなさそうで、ファンなどいつでも声かけてくれそうな早乙女Rさんが疎ましかったのではと。ニート君は、とにかく髪を切ろう。

 

ペペロンチーノ伯爵と早乙女Rさん……役者コンビ。葉蔵の機転で、最後全員自殺することなく小屋を出ることができた立役者。たぶん、この二人が今回の件をきっかけに一番前向きに生き残れそうな気が。

 

パン子さんと青木さん。……相手から一方的に逆恨みされたコンビ。青木さんは、元々この小屋は祖父母のもので結婚を機に、この小屋を譲り受け和菓子屋として明るい未来が待っていた。小屋を快く貸したのも、娘と祝うために貸したのではと思うと、芝居ではかなり人間的に危なそうな人だったけどやっぱり切ない。パン子さんにも、アゲハさんに対するコンプレックスを感じ、それでもアゲハさんの言うことには逆らえず共依存のものを感じた。

 

河童さんとアゲハさん。……いわゆる自分の死よりも、相手を不幸にさせたいという思いが強かったのがこの二人。やはり保険金目当てだったら、自殺ではなくもっと事故死に見えることを普通は考えるだろうと。わざわざこの小屋で死者を出して青木さんに嫌がらせをしたかった思いの方が強く感じます。アゲハさんに至っては、本当に死ぬつもりがあったかと。最初からパン子さんを殺すのが目的だったのかと思うけど、崖じゃなくて土手で突き落とした所を見ると、やはり殺すよりは苦しめたかったのかなという気もします。

 

死神さん……見届け人を名乗り出たけど、山場でみんな一丸となってアンパンマンマーチを歌詞も見ずにフルに歌ってめでたしめでたし……となったところで本性を現すわけですが。痴漢冤罪で人生を狂わされて、こんなにひねくれた根性になってしまった訳ですが、もっとかわいそうなのが見せ場となる長台詞にこの人のすべてが隠されているわけですが、葉蔵くんの機転から、自殺を見せかけた演技をするように書いたメモを葉蔵→早乙女R→ペペロンチーノ伯爵にリレーする所に目を奪われてしまい、毎回何をしゃべっているか頭に入らなかった所です。

 

葉蔵さん……実は小説家で、自殺ということから、太宰治人間失格の主人公から取ったと、最後で明かされます。言葉で説得するといった割には、ぶっちゃけ全く心に響かず、言葉というよりも機転でこの場を救った感じからして、小説家としての才能はあまりないんだろうなという印象。でも、初対面の人相手に、これだけうまく収めるくらいの機転があれば、人生うまくいくかもしれません。

 

1時間55分の中、1時間54分は榊原さん出ずっぱり、しかも黒縁メガネに、だぼだぼの長袖のシャツ。と等身大の普通の役で、眼福な1時間54分でした。

脚本は、明るいお葬式を書いた山崎さんだったわけですが、山崎さんの中では榊原さんはこう見えるのかと思うくらい、周りに振り回され、女子にもぶん投げられと、普通だけどやる時はやるってところが、明るいお葬式の世々ちゃんにいちゃいちゃバカップル成分を抜いた感じにも見えました。

七つの大罪から、榊原さんの舞台を生で見に行くようになりましたが、最近好青年の役が続いているので、そろそろクセのある役も見て見たいところではあります。

 

舞台に関しては、みなさん濃すぎて、目が12人分くらい欲しくて、伏線も色々あったんでしょうけど、たぶん細かい伏線は回収できなかったくらい面白かったし、初演も見て比較したかったくらいでした。

ただ、パン子さんがいくらアゲハさんに逆らえないからって、相撲の肉襦袢を着る?っていうのがありました。そして、アゲハさんに殺されかけた時の肉襦袢から出たグロいのは、肉襦袢の中なのか本人の中なのかよく分からないけど、あそこまで汚れにする必要があったのかと。相撲だから相撲のかわいがりを連想しちゃったのもあります。これも初演を見てないのでなんともいえないのですが……。

 

栗生さんがチャッカマンに火をつけて初日は死神さん→フェラガモさん→なんと要蔵くん(自分?と分かった時の葉蔵君の顔と熱がるリアクションはどうみても榊原氏だった)→河童さんと日替わりで腕に火をつけたり、むちうち君がビニール袋をかぶって首にガムテープぐるぐる巻きされたりと、死神さんの頭に関する下ネタなど、やりたい放題で見ていて楽しかったです。

 

ちなみに、千秋楽で、チャッカマンが本当に熱くて、次のヘリウムガスを持ってくるシーンが中々行けなかった河童さんの時に、どさくさに紛れて要蔵くんがチャッカマンを手に取っていたのですが、その顔がどうみても榊原さんで、「やめて~。中学男児のどSにチャッカマンは持たせないでぇぇぇ」と思いましたが、フェラガモさんあたりが隣にいたらわからなかったもですが、幸い未遂に終わったので良かったです。笑。